親から相続した実家や、だれも住まなくなった家。「住んでいないから火災保険はいらないのでは」と思っていませんか?
実は空き家こそ、火事や台風のときに気づくのが遅れ、被害が大きくなりがちです。この記事では、空き家の火災保険が必要な理由と、「入れない」「保険金が出ない」を防ぐポイントを、姫路の事情もまじえてご説明します。
空き家にも火災保険は必要です
理由は大きく2つあります。
1. 家そのものの被害に備える
人が住んでいない家は、放火やいたずら、台風で飛んできた物による破損、雨もりなどに気づくのが遅れます。修理費を自分で全部払うことになると、大きな負担です。
2. ご近所に与えた損害に備える
台風で屋根の瓦が飛んで隣の車を傷つけた、ブロック塀が倒れて通行人がけがをした。こうした場合、家の持ち主が損害を賠償する責任を負うことがあります(民法717条「工作物責任」)。住んでいなくても、持ち主である限り責任はなくなりません。
相続した実家で多い失敗「保険に入っていなかった」
私たちが姫路でご相談を受けるなかで実際にあったのが、相続したあと火災保険に入っていなかったため、被害が出たときに保険金が出なかったというケースです。
親が亡くなったあと、葬儀や相続の手続きに追われて、家の保険のことは後回しになりがちです。親の口座が凍結されて保険料の引き落としができなくなり、知らないうちに補償がなくなっていたということも起こります。相続したら、まず家の保険がどうなっているかを確認しましょう。
空き家は「住まいの保険」に入れないことがある
一般的な住宅向けの火災保険は、人が住んでいることが前提です。そのため、だれも住む予定のない空き家は、事務所や店舗と同じ「住宅ではない建物(一般物件)」として扱われます。
大手損害保険会社の中には、住まい向けの火災保険では空き家を引き受けないと案内しているところもあります。一方で、入院や老人ホームへの入居で一時的に空いている家で、家財がそのまま残っている場合は、住宅として契約できるとしている会社もあります。
「親が施設に入った」「親が亡くなった」など家の使い方が変わったときは、今の契約のままで大丈夫か、保険会社や代理店に必ず確認してください。
住まなくなったら保険会社に連絡を
火災保険の契約には、建物の使い方が変わったら保険会社に知らせる「通知義務」があります。知らせないままだと、契約を解除されたり、保険金が支払われなかったりする場合があります。
親が住んでいたころの契約をそのままにしておくのは危険です。空き家になったら、早めに連絡しておきましょう。
相続したら保険の名義変更も必要
契約している人が亡くなったら、保険の名義を相続した人に変える手続きが必要です。解約する場合でも、先に名義変更がいる保険会社もあります。
手続きでよく求められる書類は、保険証券、亡くなったことがわかる書類(戸籍謄本など)、相続人であることがわかる書類、手続きする人の本人確認書類などです。くわしくは契約している保険会社か代理店に確認してください。
空き家の火災保険で見ておきたい補償
| 補償 | こんなときに |
|---|---|
| 火災 | 放火、漏電、近所からのもらい火 |
| 風災・ひょう災 | 台風で屋根や雨どいが壊れた |
| 水災 | 川の氾濫や大雨で床上まで水につかった |
| 盗難・いたずら | 空き巣に入られた、窓を割られた |
| 賠償責任 | 瓦や塀でご近所や通行人に損害を与えた |
空き家は地震保険に入れない
地震保険は、人が住んでいる建物と家財が対象です。住まいとして使っていない空き家は、原則として地震保険をつけることができません。
保険料は高くなりやすく、傷んだ家は断られることも
空き家は火事や倒壊のリスクが高いと見られ、住宅向けの保険より保険料が高くなる傾向があります。また、傷みがひどい家や、長いあいだ放置されている家は、加入を断られることもあります。
いざというときに保険に入れる状態を保つためにも、ふだんから換気や雨もりの確認などをして、家を傷ませないことが大切です。
知っておきたい最近の火災保険の変更
- 契約できる期間が最長5年に:以前は最長10年でしたが、自然災害が増えて先の予測がむずかしくなったことから、2022年10月ごろから各社で最長5年になりました。
- 水災の保険料が地域ごとに5段階に:川や大雨の被害の受けやすさで、市区町村ごとに保険料が分けられるようになりました(2024年10月ごろから各社で順次)。
姫路で気をつけたい水害・台風
姫路市には揖保川、夢前川、市川などの川があります。揖保川では、1976年の台風で浸水した家が3,034戸、2009年の台風9号では628戸にのぼりました。2004年の台風23号では、兵庫県内で床上浸水が4,917棟でした。
実家が浸水や土砂災害のおそれがある場所にあるかは、姫路市のハザードマップで確認できます。水災の補償をつけるかどうかを決めるときの参考にしてください。
空き家の火災保険チェックリスト
- 実家に火災保険がかかっているか(証券の場所はわかるか)
- 契約している人が亡くなっていたら、名義変更をしたか
- 保険料の引き落とし口座が凍結されていないか
- 空き家になったことを保険会社に連絡したか
- 台風・水害・賠償の補償がついているか
- ハザードマップで実家の場所のリスクを確認したか
まとめ
空き家でも火災保険は必要です。特に、相続したあと保険に入っていなかった、空き家になったことを伝えていなかったという理由で保険金が出ないのは、いちばん避けたい失敗です。相続したら、まず保険の確認から始めましょう。
また、台風のあとに屋根や雨どいが壊れていないか、遠くからでは確かめられません。私たちは月1回の見回りで家の外まわりや雨もりを確認し、写真つきの巡回報告書でお知らせします。台風のあとの臨時点検(5,500円)にも対応しています。
あわせて読みたい:実家じまいとは?何から始める?手順とよくある失敗/姫路市の空き家の維持費はいくら?
出典:日本損害保険協会 そんがいほけん相談室(通知義務)/財務省「地震保険制度の概要」/損害保険料率算出機構「火災保険参考純率」/東京海上日動(名義変更)/国土交通省「揖保川」/神戸地方気象台(平成16年台風第23号)

コメント