親が施設に入った、親が亡くなった。そんなとき、多くの方が「実家をどうしよう」と悩みます。思い出の詰まった家だからこそ、すぐには決められないものです。
この記事では、実家じまいとは何か、何もしないとどうなるのか、何から始めればよいかを順番にご説明します。姫路で実際に多いご相談の流れや、姫路・播磨ならではの注意点もあわせてご紹介します。
実家じまいとは
実家じまいとは、親が住んでいた家について、荷物の片付けから、売る・貸す・解体する・管理するまで、家の「行き先」を決めて整理することです。
よく似た言葉の「家じまい」は、自分が住んでいる家を整理することを指すのが一般的です。実家じまいは、子ども世代が親の家を整理するところに違いがあります。
片付けだけで終わりではなく、「この家を最後にどうするか」を決めるところまでが実家じまいです。
実家じまいを考えるきっかけ
- 親が老人ホームなどの施設に入った、長く入院している
- 親が亡くなり、実家を相続した
- 遠くに住んでいて、実家に通うのが難しい
- 固定資産税の通知が届き、維持費が気になり始めた
国土交通省の調査では、空き家を持つことになったきっかけの57.9%が「相続」でした。実家じまいは、多くの方にとって親の死去とともに急にやってくる問題です。
姫路でよくある「実家じまい」の流れ
私たちが姫路でご相談をお受けしていると、次のような流れになる方がとても多いと感じます。
- 親が施設に入るタイミングで、家族から相談がある
- けれど、家や荷物を処分することにためらいがあり、話が流れてしまう
- 親が亡くなると、一周忌などの法要のために家を残しておくことになる
- いざ片付けようとすると、荷物の処分に手間も費用もかかる
- 結局、年に何回か掃除に通うかたちになる
- そして5年ほどたったころに売却する
この5年のあいだにも、税金・水道や電気の基本料金・火災保険・草刈りなどの費用はかかり続けます。姫路市の一般的な一戸建てで試算すると、年に約16万〜25万円です。5年なら80万〜125万円ほどになります。
くわしい計算は 「姫路市の空き家の維持費はいくら?路線価から試算」 をご覧ください。
実家を何もしないで置いておくとどうなる?
そのまま何年も過ぎてしまう
国土交通省の調査では、空き家になっている期間の真ん中(中央値)は9〜11年。半数以上(51.5%)が9年以上そのままになっています。「いつか決めよう」と思っているうちに、10年近くたってしまうのはめずらしくありません。
家が傷み、ご近所に迷惑がかかることも
人が住まない家は、空気がこもってカビが生えたり、水道管がさびたり、雨もりに気づかなかったりして、思った以上に早く傷みます。庭の草木がのびて、ご近所から苦情が来ることもあります。
「管理不全空家」になると税金が上がる
2023年12月に法律が改正され、手入れがされていない空き家は市から「管理不全空家」として指導・勧告を受けることがあります。勧告を受けると、土地の固定資産税を安くする特例が受けられなくなり、税金が上がります。
相続登記をしないと過料のおそれ
2024年4月1日から、相続登記(名義の変更)が義務になりました。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記をする必要があり、正当な理由なく放っておくと10万円以下の過料の対象になります。それより前に相続した家も対象です。
実家の行き先は5つ
| 行き先 | 向いているケース | 気をつけること |
|---|---|---|
| 住む | 家族のだれかが住む予定がある | 古い家はリフォーム費用がかかる |
| 貸す | 駅や街に近く、借り手が見込める | 貸す前の修理費、借り手が見つかるまでの期間 |
| 売る | 使う予定がない | 荷物を片付ける必要がある。場所によっては時間がかかる |
| 解体して土地を売る | 建物が古く、そのままでは売りにくい | 解体費がかかる。建物がなくなると土地の税金が上がる |
| 管理しながら考える | 法要が終わるまで、気持ちの整理がつくまで残したい | 維持費がかかり続ける。期限を決めておく |
どうしても使い道のない土地は、条件を満たせば国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」(2023年4月27日開始)もあります。ただし建物は解体する必要があり、審査手数料や負担金もかかります。
実家じまいは何から始める?手順
1. 親が元気なうちに家族で話し合う
いちばん大切なのは、親が元気なうちに、家族みんなで話しておくことです。「この家をどうしたいか」「大事な物はどれか」「通帳や権利証はどこにあるか」を親から直接聞けるのは、元気なうちだけです。
ある調査では、実家について家族と話し合ったことがある人は32.5%にとどまり、子ども世代の76.4%が、実家の大事な書類の保管場所を知らないと答えています。
2. 荷物を少しずつ減らす
ご相談に来られた方に、私たちが最初にすすめているのが「荷物を少しずつ減らすこと」です。何十年分もの荷物を一度に片付けようとすると、時間もお金もかかり、気持ちの負担も大きくなります。帰省のたびに一部屋ずつ、引き出し一つずつでもかまいません。
3. 名義と書類を確認する
登記の名義はだれになっているか、権利証(登記識別情報)、固定資産税の通知書、火災保険の証書がどこにあるかを確認します。
4. 家の価値を知っておく
売るかどうか決めていなくても、いくらぐらいで売れそうか、査定を取っておくと話し合いが進めやすくなります。
5. 行き先を決めるまでは、家を管理する
すぐに決められない場合は、換気・通水・郵便物の確認・庭の手入れなどを定期的に行い、家を傷ませないようにしておきます。遠方で通えない場合は、空き家管理サービスを使う方法もあります。
実家じまいのよくある失敗
荷物を残したまま何年もたってしまう
実家じまいを終えた方から、とても多く聞くのが「荷物はこまめに処分しておけばよかった」という声です。荷物が残っているあいだは家を売ることも貸すこともできず、そのぶん維持費も通う時間もかかってしまったからです。
実家じまいの経験者を対象にした調査でも、半数以上の方が「後悔したことがある」と答えています。後悔したことの上位は「処分費用の確認」「親と一緒に片付けておくこと」「売却価格の確認」でした。また、実家じまいにかかった費用は「50万〜100万円」と答えた人がもっとも多くなっています。
決めないまま話が止まってしまう
「まだ親が生きているから」「法要が終わるまでは」と先送りするうちに、家は傷み、売れる値段も下がっていきます。残すと決めた場合も、「三回忌が終わったら考える」など、期限を決めておくことが大切です。
姫路・播磨の実家じまいで気をつけたいこと
家が広く、蔵や納屋がある
姫路・播磨の郊外の実家は、家が広く、蔵や納屋がついていることも多いです。荷物の量が多いぶん、片付けの日数も費用もかさみます。早めに少しずつ減らしておくことが、ここでも効いてきます。
田畑がついている
家と一緒に田んぼや畑を相続することもあります。農地を売ったり、ほかの用途に変えたりするには、農地法にもとづく許可などが必要で、家だけのときより手続きに時間がかかります。
車社会なので、郊外や山側の家は売れにくい
姫路・播磨は車がないと暮らしにくい地域です。駅や買い物から遠い郊外や山側の家は買い手が限られ、売れるまでに時間がかかりがちです。売るなら、時間がかかる前提で早めに動き出しましょう。
市街化調整区域は解体や売却に注意
市街化調整区域にある家は、建て替えや使い方に制限があり、買える人も限られます。解体して更地にすると、新しく家を建てられなくなる場合もあり、解体費をかけても土地が売りにくいことがあります。解体する前に、必ず市や不動産会社に確認してください。
なお姫路市では2024年4月から、市街化調整区域の空き家を古民家カフェやコワーキングスペースなどに使いやすくする規制緩和が始まっています(市の審査が必要です)。
姫路市の相談先と補助制度
- 空き家の利活用・売却・解体を検討されている方へ(姫路市)
- 姫路市老朽空家対策補助金交付制度:傷みがひどく危険な空き家の解体費の一部を補助(個人型は費用の3分の1、上限50万円)。工事を始める前の申請が必要です。令和8年度の受付は終了しており、令和9年度に向けた現地調査は令和8年10月〜令和9年3月の予定です。
- 市街化調整区域の規制緩和(姫路市)
補助制度の内容や受付期間は年度ごとに変わります。申し込みの前に、市の最新の情報をご確認ください。
まとめ:実家じまいは「話し合い」と「少しずつの片付け」から
- 実家じまいは、片付けから家の行き先を決めるまでのこと
- 何もしないと、維持費がかかり続け、家も傷み、税金が上がることもある
- まずは親が元気なうちに家族で話し合い、荷物を少しずつ減らす
- 姫路・播磨の郊外や市街化調整区域の家は、時間がかかる前提で早めに動く
「まだ決められないけれど、家が傷むのは心配」という方は、行き先が決まるまでのあいだ、私たちが月1回お家の様子を見に行きます。換気や通水、郵便物の確認をして、写真つきの巡回報告書でお知らせします。
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」/法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」/法務省「相続土地国庫帰属制度について」/株式会社すむたす「実家じまい」に関する調査(2024年・2025年)/姫路市ホームページ

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